2015年8月27日木曜日

冷却フィンの素材の違いについて

現在ではほとんどのCPUクーラーやラジエーターにアルミが多用されている。
しかし、熱伝導率という点で考えた場合銅の方が値が大きいため、銅を採用した方が冷却効率が高いはずである。

これらについて調べてみた結果、下記URLで熱源の面積と各種素材の組み合わせで検証しているデータが有った。
この内容を簡潔に読み解く。

まず、受熱ベースの素材が同じであればフィンの素材での差は大きく出ない。
熱源の面積が受熱ベースに対して小さい場合であれば、銅製の受熱ベースが大きく優位で、
熱源の面積が大きくなり、受熱ベースのサイズに近づくに連れ素材の差は殆ど現れなくなる。

また、下記の記事ではこのような記述が見られる。
>銅は受熱能力は高い分、自己放熱能力は低いため、CPUコアからの素早い熱移動は可能でも放熱フィンにまで銅を使ってしまうと、いわゆる“熱離れ”が悪くなる。

「自己放熱能力」という言葉に疑問を感じたため調べてみたところ、自動車のラジエーターについて考察している方がいた。
内容を下記にまとめる。
熱移動というもの自体は高温部から低温部に向かって熱が流れる。
このとき温度勾配が大きければ大きいほど熱量の移動が大きくなる。

自動車の速度がない(ラジエーターに当たる風量が弱い)状態で考えた時、
放熱量よりも発熱量の方が大きくなってしまい、ラジエーター付近に滞留している空気が暖められて
"水温"と"ラジエーター温度"と"空気"のそれぞれの間で温度勾配が減ってしまう。

この時、熱伝導率の高さがネックとなる。
熱伝導率が低ければ熱移動の速度が落ち温度勾配の大きさの減少速度の低下につながる。

そのため、自動車のラジエーターではあえて熱伝導率の低いものを採用することによって、
低速時にあえて温度勾配を作り放熱できるようにするという考え方であり、
自己放熱能力という言葉はこのことを指していると思われる。

そのため記事の記述では「同じ素材の金属で、熱の吸熱と放熱の効率が異なる」という意味になってしまってしまい、誤りと考えられる。

自動車の話からPCの話に戻すと、自動車では風量が一定ではないのに対し、PCのファンは風量をある程度自由にコントロールすることができる。
その点で考えれば、熱伝導率の高いほうが有利であり、アルミのほうが放熱能力が高いということはありえない。

また、完全に同一設計でアルミ製フィンと銅製フィンの比較ができる記事が下記である。
記事内の検証結果では銅製版で素材変更の効果がほとんど出ていないため、やはり費用対効果や耐久性の面でのために多くの場合においてアルミを採用していると考えられる。